キャンプ 虫対策

キャンプの虫除けディートとイカリジン

ディート構造式

管理人hiro(@DoorLoves)です。

キャンプやアウトドア活動、野良仕事、夏祭り・・・etcでよく使用する虫除け剤
医薬品類に分類されるものには2種類があります。
ディートとイカリジンです。

それぞれの特徴を比較してみたいと思います。
虫除け剤を選ぶ手助けになればと思います。

キャンプやアウトドアで害をなす虫たちは以下の記事をご覧ください。

また、虫への基本の対策をまとめた記事も一緒にご覧ください。

こんな方におすすめ

  • 虫除けについて詳しく知りたい方
  • どうやって虫除けを選べば良いか知りたい方
  • どんなタイプの虫除けがあるのか知りたい方
  • ディート・イカリジンに関して知りたい方
  • 虫除け剤の特徴を知りたい方
  • 虫除け剤は安全なのか知りたい方
  • 虫除けのメカニズムを知りたい方

目次

虫除け剤(忌避剤)

現在、日本国内で使用される医薬品類に分類される虫除け剤(忌避剤)は、
ディートとイカリジンを配合したもの
です。
実は、これらの虫除け剤がどのようなメカニズムで虫たちを寄せ付けないのかは、
正確な立証はされていない
です。
勘違いされては困りますが、虫たちを寄せ付けない効果はしっかりと発揮します。
しかし、その効果が何によってもたされるかが解明されていないのです。

虫除けの効果をもたらす要因は、以下のように推測されています。

忌避効果の要因

  • 体表の感覚子のかく乱
  • 神経細胞への多種刺激による混乱
  • 吸血行動を起こすための条件のかく乱
  • 運動感覚器の妨害

体表の感覚子のかく乱

虫の体表には、化学的感覚子が多数存在します。
一番、化学的感覚子が多いのは触角です。
この感覚子に対して、誤認識を起こさせる効果を発揮している推測です。
虫の化学的感覚子は、高濃度のものに対しては、嗅覚、
低濃度のものに対しては、味覚を発揮していると考えられています。
この知覚を利用し、虫除け剤(忌避剤)にて、
吸血対象ではないと認識させることが出来ていると推測されています。

神経細胞への多種刺激による混乱

体表の感覚子から多くの刺激を与えることで、
情報量のキャパシティーをオーバーさせ混乱させている
推測です。
動物と違い、脳や神経系が単純に出来ているため、
情報の処理が追い付かず混乱を招くとされています。

また、虫の神経系統は脳だけではなく各節(胸部、腹部)などに
神経の集まる神経節があり、独立した命令系統を持ちます。
(虫は頭が取れたりしても歩き続けたりしますよね。。。)
そのため、個別の神経節に違う刺激を与えたりすると
更なる混乱を生じ、体の制御がうまくいかなくなったりします。

吸血行動を起こすための条件のかく乱

吸血をする虫が吸血行動を起こすための条件は主に2つあります。
炭酸ガスの濃度と暖湿対流です。
この2つの条件がそろうことによって吸血行動を起こします。
この条件が揃っていないと思わせているという推測です。

虫除け剤(忌避剤)には、このうちのどちらかの感覚を阻害する効能が
含まれていると推測されています。

運動感覚器の妨害

吸血対象という認識、吸血行動の条件がそろった状態において
更にそこからの吸血行動のための運動に阻害をする効果を発揮しているという推測です。
準備出来たのに動けない~って状態ですね。

人で言う金縛りの状態でしょうか。
血を吸いたい衝動はあれど、刺す行動に移れない状態なのかと推測されます。

ディートとイカリジンの比較

虫除けスプレー

ディートとイカリジンの比較をわかりやすく表にして見てみましょう。

名称 ディート イカリジン
化学式 C12H17NO C12H23NO3
開発 1946年 アメリカ軍 1986年 ドイツ
認可 認可年の情報なし(50年以上使用)
2016年高濃度(30%まで)の第二類医薬品認可
2015年
2016年高濃度(15%まで)の追加認可
使用制限 あり なし
忌避効果対象
※製品・商品により差異あり

ブユ
アブ
マダニ
イエダニ
ノミ
トコジラミ
ヤマビル
サシバエ

ブユ
アブ
マダニ
イエダニ
トコジラミ
ヤマビル
分類(日本国内) 12%以上・・・医薬品
12%未満・・・医薬部外品
医薬部外品

それぞれの特徴を見ていきましょう。

ディートの特徴

ディートは世界中で広く使用されている忌避剤です。
開発されたのも古く、1946年に第二次世界大戦時のジャングル戦経験より、
軍事用の忌避剤として開発
されました。
ジャングル戦で蚊に苦労したのでしょうね。。。(かゆみと伝染病)
一般に発売されたのは、少し時が過ぎ1957年からのようです。

日本国内においても、最も古くから使用されている合成化合物の忌避剤です。
50年以上も前から使用されています。
(記録は調べられませんでした)
また、イカリジンと比べても効果は高く、最も効果的で効果の持続も長いことが示されています。

2005年より日本国内において、使用上の注意が追記されました。
内容は、比較の表における使用制限に関する項目です。

12%以下ディート含有 30%ディート含有
6か月未満の乳児 使用できない 使用できない
6か月~2歳未満 1日1回
12歳未満 1日1~3回

これは、海外において肌荒れを起こした症例から、
日本国内で高濃度製品を発売するに至り追記されたものです。
海外では、ディート80%や100%の製品も存在するため、
単純に比較や影響はすることが出来ませんが、
肌の弱い小さなお子様や肌の弱い方には影響があります。
製品に記載された用法用量を守って使用しましょう。

また、ディートには特有の臭いがあります。
臭いが気になる場合は、イカリジンの使用をお勧めします。

イカリジンの特徴

日本国内では、2015年に新しく認可された忌避剤です。
発見されたのも、ディートから遅れること40年後の1986年です。
開発に至った経緯自体が、「ディートの代替を探す」というコンセプトとなっています。

効果はディートと比べると少しだけ劣るようです。
とはいえ、十分な忌避効果を発揮します。

イカリジンの最大の特徴は使用制限がないことです。
乳児から問題なく使用することが出来ます。
これは小さなお子様を持つ方(うちの家族も)にはとてもうれしい所です。

ちなみに、うちのるーちゃんは蚊に対してちょっと強めのアレルギー反応が出ます。
どうなってしまうかというと・・・
刺された箇所が赤く腫れあがり、通常の蚊に刺された膨らみの
4~5倍ぐらいの腫れ(直径10cmぐらい)が起こってしまいます。
注意を払っていても、保育園のお散歩などで刺されて帰ってきたり、
家の中に入ってきてしまったヤツに刺されてしまったりします。
(家は6階なので、通常では侵入してきません。
エレベーターに人と一緒に乗ってきたりしてしまうようです。)
そんな、るーちゃんを守ってくれる救世主です。

また、イカリジンには特有の臭いがなく
臭いが気になる方にもおすすめ
です。

ディートと比較すると、他にも数点特徴があります。
ディートは、プラスチック、レーヨン、皮革に対して影響がありますが、
イカリジンは繊維や樹脂類に対し影響が少ないです。
皮膚への刺激性がないため、お肌の弱い方や敏感肌の方は使い勝手が良いです。

虫除け(忌避剤)の使用タイプ

これまでご紹介したディートとイカリジンを配合した虫除け(忌避剤)ですが、
使い方により5つのタイプがあります。

虫除けのタイプ

  • エアゾールスプレー
  • ミストスプレー
  • 液体
  • ジェル
  • シート

エアゾールスプレー

ガスを利用してスプレーするタイプです。
最も普及しているタイプかと思います。
「虫除け」と聞くとこのタイプを想像する方が多いのではないでしょうか。

広範囲に塗布しやすいのが特徴です。
ただし、ムラができやすいので、スプレー後に手でのばすと
塗りムラがなくなる
ので、おすすめです。

広範囲に塗布しやすい特徴がありますが、
その分、空気中に広がり薬剤成分を吸い込みやすくなってしまうことに注意が必要です。
お子様への使用時には気をつけましょう。
なるべく、大人が使用してあげる方が安心です。
顔付近に使用する場合には一度手にスプレーしてから、
塗布すると安心です。

また、使用しているガスは可燃性のものが多いため、
火の近くで使用しないでください。
キャンプでは、焚き火や調理のための火器、ランタンなど火を使うものが多いです。
充分に気を付けて使用しましょう。

使用感は、パウダーを配合しているものが多く、
さらっとした使用感です。
また、パウダー配合のものは、汗に強い傾向があります。

ミストスプレー

プッシュタイプのスプレーです。
エアゾールスプレーのように広く飛び散らず、
比較的周りに気を遣わず使用できるスプレータイプです。

プッシュするポンプ量で使用量がわかりやすいのが特徴です。
使いすぎることがなく、スプレーで広がるので塗布がしやすいです。

こちらもエアゾールスプレータイプとまではいきませんが、
スプレーで広がるので吸い込みには気を付けましょう。

エアゾールスプレー以外は、
保湿成分配合のものが多いです。
保湿成分を含んだ製品は、しっとりした使用感です。

エアゾール・ミストスプレータイプの虫よけのおすすめです。

液体(ロールオン)・ジェル

液体とジェルタイプは似ていますのでまとめてご紹介します。

液体・ジェルタイプは瓶などの容器に入っていて、
適量を手に取ったり、そのまま塗布するタイプです。
塗りムラが起こりにくいタイプです。

ロールオンは「キンカン」タイプの塗り方です。
管理人は、キンカンは世間的に良く知られていると思っていますが・・・
どうでしょうか?イメージは付きましたか?
お家に丁度ロールオンの虫刺され薬(るーちゃん用)があったので、
写真を張り付けておきます。

ロールオン

シート

シートタイプは、最近よく見るデオドラントシートと同じタイプのものです。

収納ケース(袋)から出してすぐ使える手軽さが特徴です。
すぐ使える手軽さから、気になったらすぐにこまめな塗りなおしが可能です。

スプレータイプ以外のの虫よけのおすすめです。

ディートとイカリジン配合の虫除け剤の使用方法

成分による使い方の違いは特にありません。
しかし、ディートは肌への刺激性があるため、
首より上への塗布時は特に気を付けて頂けたらと思います。
乳幼児の場合、手を舐めてしまったりすることがあるので
手への塗布にも気を付けてほしいです。

使用のポイント

  • 肌の露出部分にムラなく使用する
    ムラがあるとその部分が狙われてしまいます。
  • 常用をせず、必要なときだけ使用する
  • 使用時間は、子供4時間・大人8時間程度を目安として使用する
    それ以上の使用の場合、濃度の低いものを使用し、回数で補うようにしましょう。
  • 使用後はできるだけ洗い流す
  • 子供だけで使用させない
  • 衣服に使用する場合、肌に触れる部分に使用しない
  • エアゾールスプレータイプを子供に使用する場合、直接使用しない
  • 日焼け止めと併用する場合、日焼け止めを先、虫除けを後に使用する

含有濃度の違い

含有濃度の違いは、効力の違いではなく、
効果の持続時間の違いです。
一般的な感覚として、濃度が高いと虫除けの効果が高いのかと考えがちです。
勘違いしやすい所なので、覚えておいてください。

ディート持続時間

5% 1.5時間
10% 2時間
30% 8時間
100%(国内無認可) 10時間

イカリジン持続時間

7% ヤブカ:0 イエカ:2.5時間
15% ヤブカ:1時間 イエカ:4.8時間

ディートとイカリジンの安全性

ディートに関して、安全性の話題が挙がることがあります。
海外において強めのアレルギー反応が起きたことと、
大学での実験にて神経毒が見られたとの報告が起因となっているようです。
しかしながら、ディートもイカリジンも危険性はありません

ディートの物質として、国内の消防法の第4類危険物 第3石油類に分類され、
物質自身の用法を間違えると危険物となります。
用法は、飲用ではない点であります。
石油類ですので、飲んでしまっては毒となるのは当たり前ですね。
そのため、吸い込みには気を付けましょう。

国内においては、使用されている50年以上に及び、
副作用の報告は一つもありません。

また、神経毒の実験も厚生労働省主管にて行われ、問題ないことが証明されています。
参考:ディート(忌避剤)の安全性について 厚生労働省 PDF

まとめ

ディート・イカリジンともに優秀な忌避効果を発揮します。
ディートの方がイカリジンよりも少し効果としては強いです。

ただし、ディートには子供に対しての使用制限が存在します。
小さなお子さんに使用するならば、イカリジンを主成分とした虫除けがベストです。

塗布にムラがあるとその部分に効果が発揮されないので、塗りムラに注意する。

ディート・イカリジンともに現状では安全なものという判断がされています。
他の薬品類と同様に、用法用量を適切に使用すればとても有用なものです。

上手に使用して虫刺されから逃れましょう!

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hiro

サイト運営者、hiroです。 アウトドア・フィッシング・DIYを中心に有益な情報を発信したいと思っています。キャンプは子供の頃から経験しています。本格的に始めたのは15年前程。経験などを織り交ぜていければと思っています。 生物系大学卒業で、本業は保険系システムエンジニアです。 詳しくはAboutをご覧下さい。

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